
ムジカノーヴァ別冊(発売・音楽之友社)
「覇者への道・激闘!ショパンコンクール総集編」(2001年1月10日発行)
p.75 ショパンコンクール入賞者&出場後活躍したピアニストの
ショパン・ディスコグラフィー (壱岐邦雄)
《新世紀に向けて新たなショパン全集》
ポーランドBeArTonレーベルから 「他の出版社や編集者によって変えられた
ショパン解釈上の意図およびテキストの忠実な復元・再現」 と目的とするナショ
ナル・エディション(ヤン・エキエル編)によるCD全集が進行中。
いまのところ「4つのバラードと幻想曲」(95年録音)から「ピアノ協奏曲第1番と
第2番」(2000年8月録音)までの 〈Aシリーズ:生前に出版された作品〉11巻
(13枚)が出そろったところで、完結は21世紀となる。
それにふさわしくベテランから新進までの演奏陣がポーランドにおける最新ショパ
ン像 ―― 社会主義政権下での国民英雄的なそれとはあきらかに異なって、よ
りしなやかで洗練されたショパン ―― を浮き彫りにしつつ、それでもやはりショ
パンへの愛と誇りをこめて熱く奏でている。
なおこのシリーズには河合優子(ポーランド在住)の端麗なソロ・アルバム〈LENTO
... AND OTHER WORKS〉が含まれている。
ショパン全集に日本人ピアニストが参加するのは初めてのこと。
ショパンコンクール入賞に匹敵して、これまた快挙といえるだろう。
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ムジカノーヴァ 2001年2月号
p.107 NEW
DISCS (百瀬 喬)
愛知県立芸術大学、ワルシャワ国立ショパン音楽院にて研鑚を重ね、マリー
エンバート・ショパン国際ピアノコンクールで第3位に入賞している河合優子の
デビューアルバム。
特徴の第一はショパン学者でもあるポーランドのピアニスト、ヤン・エキエルの
監修で進められているショパン全集、ポーランド国立エディションが底本として
用いられていることである。
アルバムの冒頭とその最後に同じ遺作のノクターン嬰ハ短調が収録されている
のは、同全集に収められた2つの異版を示したからで、またポピュラーなノクター
ン変ホ長調 op.9−2 もやはり同全集に収められた異版による耳慣れないもの
で、これまた興味深い。
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音楽の友 2001年2月号
p.225 Disc News & Topics
ポーランドの正統的全集にも参加、河合優子「ショパン作品集」
1995年のショパン国際ピアノ・コンクールで話題になった河合優子が、本場ポー
ランドのナショナル・エディションに日本人として初登場(確か東洋人としても初では
なかったかと記憶するが)した記念すべきディスクである(BeArTon CDB011)。
河合は名古屋市に生まれ、愛知県芸大と同大学院を経てポーランド国立ワルシャ
ワ・ショパン音楽院に留学、現在もポーランドに住みヨーロッパと日本で活動を続け
ている実力派ピアニストだ。
収録曲はタイトルの〈レント・コン・グラン・エスプレッシオ−ネ〉の2種類の版に加え、
嬰ハ短調のワルツ(op. 64-2)や変ホ長調のノクターン(夜想曲op.9-2)などお馴染み
の作品も含まれているが、後者はヴァリアントつきの版であるなど異稿・異版の網羅
というこのエディションの特色が存分に楽しめる構成。
演奏は奇をてらうところのまったくない確信に満ちたもので、強奏の際にも和音の味
わいが失われない美質にも好感が持てる。
ショパンの祖国が威信にかけて取り組んでいる正統的全集への参加は大きな意味
を持っており、このことからも彼女が現地でどれほど高い評価を受けているかがうか
がえよう。
(吉村 渓)
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レコード芸術 2001年2月号
p.285 海外盤視聴記
室内楽曲/器楽曲
現在はポーランドに住む河合優子は、95年の第13回ショパン国際ピアノ・コン
クールの参加者であるが、ナショナル・エディションによる彼女のこのショパン作
品集には、ソナタ第3番、バラード第1番など、ショパンの多彩なピアノ曲が収めら
れている。
ナショナル・エディションは、ショパンの作品を可能な限り本物に近い状態で紹介
することを意図したエディションであるが、それを用いた河合は、一見控えめにも
見受けられるひたむきで誠実な表現のなかにホットな情熱をたぎらせた演奏を展
開し、聴き手に内に秘めたショパンに対する彼女の深い想いを印象づけている。
彼女の演奏はドラマティックな力強さを示している反面、叙情的な小品では、かな
りナイーヴな内面性も披瀝している。
《レント・コン・グラン・エスプレッシオ−ネ》の二つの版が聴き比べられることも、この
アルバムの面白い聴きどころとして注目されてよいだろう。
(柴田龍一・音楽評論家)